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痴漢犯人にさせられた男の物語 [ノンフィクション]

 いよいよ日本も本格的に女性専用車両が導入される時代になりました。連休明けから首都圏でも本格的に電鉄各社が朝のラッシュ時に女性専用車両の導入を決めたという昨日のニュースを見て、ほっと一息。感慨にふけった女性たちも多いのではないでしょうか? 左様、それほどまでに昨今の首都圏電車での痴漢被害はひどいらしい。満員電車にかこつけて、うら若き女性達のお体にタッチする(いやいや、それくらいでは痴漢と呼べないね…)などとは、まったく不届き千万。彼女たちの怒りもごもっともでございます。

 しかしちょっと待て。痴漢被害もひどいけど、間違えて痴漢にされてしまった男性たちの悲劇というのも多数存在するんだぞ。鈴木健夫「ぼくは痴漢じゃない!」(新潮文庫)を読むと、一人の女性の「あなた、触ったでしょ!」の一言によって、ごくごくフツーのサラリーマンの人生が怒濤のごとく壊れ果てていく様子が克明に描かれていて恐ろしい気分になってきます。多分、毎日通勤電車に乗っている人なら誰でも起こりうる話であるだけに、人ごととは思えず、読後は思わず身震いすることでしょう。

 事件はある日唐突にやってきます。電車を降りると突然、見知らぬ女性に大声で「痴漢よ!」と叫ばれ、何事かと見つめる周りの冷ややかな目。騒ぎに気付いた駅員に「とりあえず、詳しい話は事務所で」と諭されると、いつの間にか警察がやってきて自分は犯人扱い。否認を続けると、留置場に送り込まれて、ベルトコンベア式に犯人に仕立て上げられていく・・・・。たった一人の痴漢被害者らしき女性の告発によって、目撃者もいない状況の中で、告発を受けた男性陣は絶対的な不利な状況に追い込まれてしまう。なにゆえに「私」が痴漢犯として逮捕されなければならないのか? いくらそう主張しても、現在の法律では痴漢に関しては圧倒的に被害者に有利な状況になっている。極端な話、女性の告発がまるでデタラメでも、叫ばれれば誰でも痴漢犯にされてしまう可能性が大きいというのです。

 鈴木氏が捕まった当時は、痴漢犯罪の罰金刑は五万円でした(現行法では、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)。とりあえず罰金を払ってしまって、やってもいない罪を認めて前科者となり、早急に処理してもらうのか。あるいは鈴木氏のように、断固無実を訴えて戦い抜くか。もしあなたが同じ立場におかれた時には、どんな解決策を選択いたしますか? ちなみに著者の場合には、後者を選択したために無罪を獲得するために二年間の歳月がかかり、その間に会社は強制退社(ほとんど解雇に近い扱い)。それまでの社会的地位や収入は、この冤罪のためにゼロに戻ってしまいました。

 みなさま、本当に通勤電車には気を付けて。本書の後半は、担当弁護士による解説が載っているのですが、もし同じ被害にあった時の対処法として語れることは、「やっていないのなら、やっていないといってください」「事情徴収に応じれば、もうその時点で有罪行きのベルトコンベアに乗ったものと考えられます」「女性があなたが痴漢に間違いないと主張ば、逮捕される確率は高いでしょう」「もちろん起訴されればほとんど有罪になります」というスゴイ内容なのです。痴漢被害に関する、これが日本の法律の現状。一部のスケベなおやじたちのために、多くのまっとうな男性陣はいつでも地獄に突き落とされる危険性と隣り合わせにいるのです。最後に、ひとこと。だからこそ、女性専用車両バンザイ。できるなら、もっと多くの車両が連結されることを祈っております!!


ぼくは痴漢じゃない!—冤罪事件643日の記録


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コメント 5

ゆうり

作者が無罪を勝ち取るまでの長い道のりは、一時、マスコミでも話題になっていましたね。
作者の場合は完全な冤罪で、それを信じてくれる家族や友人の存在が大きな支えとなったとか。

一方で、作者の戦いにカン違いな感動を覚えたのか、自分も冤罪だと主張し晴れて無罪となったはいいが、その後、今度は言い逃れのできない状況で痴漢行為をおこない捕まったバカもいましたねぇ・・・

セクハラオヤジたちは
「(痴漢をされて)なんだかんだいって、女だって感じているに違いない」ととんでもない誤解をしているようです。
なんでこんな誤解がまかり通っているかというと、いわく、
「最近の女性は性にオープンだから」
「女性用のアダルトビデオやポルノが流行っているっていうじゃないの」
「女性誌を見ると男性誌よかきわどいよね」。

そんなオヤジどもにひとこと。

妄想も快楽も個人のもの。自分だけのもの。
誰がスケベオヤジに痴漢されて喜ぶかつーの!

ほんとうに一部の変態のおかげで、まっとうな男性はもちろんのこと、多くの女性たちの尊厳が失われ続けているのです。
by ゆうり (2005-03-30 12:46) 

厳しい事を言いますが

>>女性専用車両バンザイ

女性専用車両導入から数年経ちますが、冤罪かどうかわからない痴漢事件は
増加中です。(新聞に掲載されました)
女性全員、一人残らず利用しなければ意味のない車両ですし、
これはあきらかに間違った対策ですね。

>>言い逃れのできない状況で痴漢行為をおこない捕まったバカもいましたねぇ・・・

誰の事を言ってるのか知りませんが、これは物証が挙がったのですか?
被害者の衣服、身体についた指紋を検出しない限り、痴漢事件はすべて
冤罪の可能性を残しています。
正義感にかられた目撃者が多数いても証拠として不十分です。
言い逃れの出来ない状況とは何の事でしょうか。

>>一部のスケベなおやじたち
>>一部の変態のおかげで

そもそもの痴漢事件が最初から現在に至るまで物証を挙げていませんので、
一部の変態やスケベの存在からして疑わなければなりません。
本の「自白」と「自称被害者の思い込み」に関する部分は読まれましたよね?

失礼ですが、お二人は痴漢冤罪についてきちんと考えた事があるのでしょうか
by 厳しい事を言いますが (2005-05-05 16:09) 

pon-pu

ご意見有り難うございます。
しかし、痴漢免罪について考えるときに必要なことは、同時に痴漢被害に毎日あっている女性の人権を考慮することだと私は思います。

>>痴漢事件が最初から現在に至るまで物証を挙げていませんので、
>>一部の変態やスケベの存在からして疑わなければなりません。

と一言で片づけてしまうなら、彼女たちの人権をまったく考慮していないということにはなりませんか? それとも、法的に正しくは証明できないから、すべての痴漢犯罪は無効であると言い切れる、なんて恐ろしいことをおっしゃりたいわけでは、まさかありませんよね? 

本書を読んで痴漢免罪事件について男性たちが怒りと恐れを感じるのは大切なことだと思うのですが、偏った読み方をされると困ったことになるとも感じていました。

女性車両、私は良いと思いますよ。もちろんベストの解決法ではないし、こんなことしなくちゃいけないのは情けない気持ちにもなるけれど、双方の言い分を考慮すれば現実的にはますまずのアイデアではないでしょうか。マスコミというのはとかくある現象をとらえて批判するだけの立場を取りがちだけど、大切なのは現実的な解決策を一つづつ実行することにあるのですから……。
by pon-pu (2005-05-06 09:52) 

ゆうり

痴漢冤罪について怒りがわくからこその発言でした。
くみとってもらえなかったのは、私の力不足と言葉足らずでしたね。

JRのコピーを借りずとも「痴漢は犯罪です」。
その被害者は、痴漢にあった人、無実なのに、世の中に痴漢なんてバカ者がいるがために誤解されて犯人にされてしまった人、の両方です。

一部のスケベオヤジの存在からして疑わなければならない・・・
う~ん。この発言は、ほんとうに存在する「スケベオヤジ」たちを喜ばすことになるだけで、痴漢冤罪の被害者をかばうことにはならないと思います。
ところで、スケベオヤジという言い方ですが、年齢に関係なく痴漢をするようなヤカラはすべて「スケベオヤジ」として表現させてもらいました。

もし、今までに痴漢の経験のない女性がいたら、その人はたいへん幸運です。
心からうらやましく思います。
もう時効だから言いますが、私は10代から20代にかけて、やたら痴漢に遭遇しました。
誰にも言えなかったのは、当時の風潮として
「痴漢にあうような状況を作った女性も悪い」
「そういうサインを出していたんだろ」みたいなことがあったからです。
社会のジェンダー意識なんて、ここ10年で劇的に変わっただけのこと。
多くの先輩女性ががんばってくれたおかげでね。
20年前の日本なんて、「痴漢被害ごとき」では、女性の尊厳なんぞ誰も守ってはくれなかったのです。

電車の中でスカートの中に手が入ってくるときの恐怖や嫌悪感。そして屈辱。
声を出すこともできず、ただただくやしさでじっとしているしかありませんでした。
なぜかって?
痴漢被害は物証の確定が難しく、「被害者の証言」のみで支えられる犯罪だからです。

女性のくやしい思いや声が、ようやく社会に届くようになったのは、歓迎すべきことです。
だからこそ、冤罪で苦しむ人が二度と出ないように、痴漢行為などという犯罪は撲滅すべきなのです。
女性専用車両の導入は、そのための1つの選択だと私は思います。
by ゆうり (2005-05-08 08:31) 

冤罪はこわい!

わたしも女性専用車両に賛成です。というか女性と男性の車両を分けたほうがいいと思います。本当に冤罪はこわいです。本人だけでなく、その家族までもが社会的に抹殺されてしまうのです。証拠も状況証拠だけしかとりません。証言も女性側の発言ばかりが信憑性があるとされてしまいます。推定有罪がまかり通っている犯罪なんです。警察の捜査にも問題があるかもしれませんが、それを判断する検察側がもっと真剣に痴漢冤罪事件の重さを考えてほしいと思います。
by 冤罪はこわい! (2005-10-25 19:10) 

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