So-net無料ブログ作成
検索選択

ホンモノの芸術を理解するために [アート]

 アウトサイダーアートと呼ばれる作品群があります。簡単に定義すると、「精神病患者や知的障害者など、正規の芸術教育を受けたことのない作家による独自自習によるアート」ということでしょうか。こうした作品は、20世紀初頭にヨーロッパの精神科医によって発見されたとされ、現代アートが閉塞的状況を迎えるなかで、近年はますますアウトサイダーアートに対する注目が高まってきました。日本では財団法人たんぽぽの家の理事長である播磨康夫氏によって、知的障害者の作品を「エイブルアート」と命名され、生命の衰弱した現代空間に躍動感を与えてくれる魂のアートであるという価値観を広めてきました。服部 正「アウトサイダーアート」(光文社新書)は、そんなアウトサイダーアートの歴史と具体的な作家についての概略をわかりやすくまとめた本です。

 以前に「お騒がせ贋作事件簿」の紹介の時にも指摘しましたが、日本ではアートを純粋な作品の価値観だけで評価する土壌がまるでないのが現実です。「私、絵のことはわからないので・・・・」「芸術センスはゼロなんですな・・・・」などと公言してはばからないおじさまたちがごろごろいて、そんな彼らが金に任せて大家の名作を買いあさっている。だから贋作をつかまされてざまあみろ(笑)ということになるわけですが、文化の育成という観点から考えると、そろそろアートを見る眼をもっと多くの人たちが培う必要があるのではないでしょうか。

 アートを見る眼を育てること。これは、作家名や美術史に名を残す名作ばかりを見ようとせずに、自分の感性だけを信じて、自分にフィットする作品を見つけて純粋に鑑賞を楽しむことであります。アウトサイダーアートほど、それに適したアートはありません。はじめは少しとまどうかもしれないけれど、これまでの美術教育の知識を捨て去って作家が表現しているモノを単純に見ていただけきたい。鮮やかなパステルで何百回と塗り込まれたぐるぐるの輪や、大きな紙に細かくびっしりと書き込まれた「漢字の宇宙」。マジックで様々な形に色を塗りつぶしただけの不思議な色彩のパズル。これらが何となく面白いと感じ取ることができれば、もうアートを鑑賞できる眼力が備わりつつあると言っていいのです。本書の副題にあるように、それらの作品には「現代美術が忘れたホンモノの美」があるのですから。


アウトサイダー・アート


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 2

Youkimu

http://www.japan-hotels.hippy.com/
by Youkimu (2006-01-13 02:24) 

pingu

この本はご存知でしょうか。
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31929097
作者は正規の美術教育を受けていますし、病んでいる訳でもないのですが、この作品はアウトサイダーアートを彷彿とさせます。病気の兄のことを描いているのですが、その兄との距離の近さがそのように感じさせるのかもしれません。
by pingu (2008-10-02 22:11) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。